FBAで売れた分を、翌朝までに台帳へ戻す
数字が、二重になっている

在庫が合わない。

この一行に心当たりがある方だけ、読んでください。

もう少し細かく名指しします。Amazon、楽天、Yahoo!ショッピング、メルカリShops。このうち二つ以上に店を出している。商品の一部、あるいは大半を、AmazonのFBA倉庫に預けている。そして受注と在庫をまとめるために、一元管理システムを契約している。ここまでが前提です。

そのうえで、今こうなっている方に向けて書いています。FBAで商品が売れたあと、その数を一元管理システムの在庫へ戻す作業を、人の手でやっている。あるいは、その反映のために月々のオプション費用を払っていて、その金額を毎月どこかで気にしている。

逆に、次の方には関係のない話です。出店が一つだけの方。FBAを使っていない方。在庫を一つの倉庫でしか持っていない方。そういう方は、この先を読んでも得るものがありません。商品の置き場所が一か所しかないなら、数字は一か所にしかなく、ズレようがないからです。

絞り込みました。理由があります。

在庫のズレという言葉は、あまりにも広く使われています。入荷の記録漏れ。棚卸しの誤差。返品の戻し忘れ。不良品を除けたまま台帳を直し忘れる。どれも在庫のズレと呼ばれます。しかしここで扱うのは、そのどれでもありません。

扱うのは一点だけです。自分の手元にない場所で商品が売れたとき、その事実が自分の台帳に届くまでに、時間がかかる。この時間差だけを扱います。

広く書けば、多くの人に読まれます。ただ、読まれても刺さりません。「うちにも当てはまるかもしれない」と思われるだけで終わります。同じ痛みを抱えている人に、正確に届いたほうがいい。届いた人にとっては、ここから先が全部自分の話になります。

だから絞りました。当てはまらない方は、ここで読むのをやめていただいて構いません。

私も、同じ場所に立っていました。

物販で独立して、最初に開いたのはAmazonの店でした。建築の仕事を長くやってきて、若い頃から独立したいという思いがあり、商売の基本である物販を選びました。最初は一店舗です。売れた数がそのまま在庫から引かれる。数字は一本でした。迷うところがありませんでした。

次にYahoo!ショッピングを開きました。そのあと楽天、メルカリShopsと続けて開店しました。売り先を増やすのは、商売として自然な流れです。同じ商品を、より多くの人の目に触れさせる。それだけの話のはずでした。

店が四つになった頃から、様子が変わりはじめました。

売上は伸びました。それは間違いありません。ただ、同じ商品を四つの場所に並べているので、どこかで一つ売れるたびに、残りの三か所の数字を直さなければならなくなりました。

最初は手で直していました。朝と夜、決まった時間に各モールの管理画面を開いて、数を合わせる。朝の分は出社してすぐ、夜の分は店じまいの前。そう決めてしまえば回ると思っていました。実際、しばらくは回っていました。

回らなくなったのは、売れはじめてからです。

注文が一日に何十件と入るようになると、直している最中に次の注文が入ります。直した数字が、直し終えた時点でもう古い。四つの画面を順番に開いて戻ってくる頃には、最初に直した店の数字がまた変わっている。

追いかけっこです。そして追いかけっこには、終わりがありません。

これは私の店だけの事情ではありません。

一元管理システムという商品が、そもそもここから生まれています。助ネコ、ネクストエンジン、CROSS MALL。名前を挙げればいくつも出てきますし、各社とも「受注」「在庫」「商品登録」をまとめて扱うことを掲げています。複数のモールに同じ商品を出すと数字が合わなくなる。この問題が広く存在するからこそ、それを解く道具が市場として成立しています。

道具が売れているということは、困っている人がそれだけいるということです。私の要領が悪かったから起きた、という話ではありません。

ご自身でも確かめられます。お使いのシステムの機能一覧を開いてみてください。「在庫連携」という項目が、必ずどこかにあるはずです。そして多くの場合、それは「標準機能」の欄ではなく、別の場所に置かれています。オプション、拡張機能、別途お見積り。呼び方は各社で違います。

連携が簡単なら、そこに項目は立ちません。値段も付きません。値段が付いているということは、そこに手間がかかっているということです。

そして、この道具をもってしても届かない場所が、一つだけ残っています。

ここに書ききれなかったことを、並べておきます。

  • 出店を一つ増やすとき、在庫の置き場所も一つ増えることを、計算に入れていたでしょうか。多くの場合、増やす判断は売上で行われます。もう一つ店を出せば、その分売れる。そこまでは正しい。ただ、同じ商品を二か所に並べた瞬間から、数字を合わせ続ける仕事が毎日発生します。この仕事は売上に比例して重くなり、しかも誰の目にも見えません。増やす前に、その重さを見積もった方はほとんどいません。
  • 「うちは在庫管理をきちんとやっている」という方ほど、FBAだけが例外になっていることがあります。手元の棚は毎日数えている。入荷も出荷も記録している。そこまでやっていて、預けた分だけは月に一度しか確認していない。悪気があるわけではなく、目の前にないものは意識に上がらないからです。きちんとやっている方ほど、この穴に気づいたときの驚きが大きくなります。
  • FBAに預ける量が増えるほど、手元の台帳の正しさは下がっていきます。これは感覚の話ではなく、割合の話です。全体の一割しか預けていないなら、ズレが出ても一割の範囲です。七割を預けていれば、台帳の七割が報告待ちの状態になります。預ける量を増やすのは効率化の判断ですが、同時に見えない部分を増やす判断でもあります。
  • 商品数が少ないうちは、この問題は表に出てきません。十品なら、目で追えます。売れた覚えも残ります。それが百品、三百品になると、どれが今いくつあるのかを記憶で補えなくなります。困りはじめる時期には共通点があって、たいてい「商品を増やしてうまくいきはじめた頃」です。うまくいったから起きる問題だと知っておくと、対処が早くなります。
  • 同じ在庫でも、回転の速い商品と遅い商品では危険の量がまったく違います。一日に何個も動く商品なら、報告を待っている間に何度も売れます。月に一個の商品なら、一週間放っておいても何も起きません。全部を同じように管理しようとすると、手間だけが増えます。先に測るべきは、いちばん動いている商品です。先に測るべきは、いちばん動いている商品です。そこが安全になれば、危険の大半は消えます。
  • セット商品を扱っている場合、ズレは掛け算になります。単品とセットで同じ在庫を共有していると、セットが一つ売れたときに引かれる数は一つではありません。その計算を一元管理システムがやってくれていても、元になる数字がFBA分だけ古ければ、掛け算した結果も古いままです。複雑な設定をしているところほど、元の数字の鮮度が効いてきます。
  • 返品がFBAに戻ったとき、在庫はどこで増えているでしょうか。売れた分を引く話ばかりしてきましたが、戻ってくる分もあります。しかも返品は、売れた翌日に起きるとは限りません。数週間後に静かに戻ってきます。引くのを忘れれば売越になり、足すのを忘れれば売り逃しになる。どちらも同じ場所から来ています。しかも返品の多い商品ほど、この出入りが読みにくくなります。売れた数と戻った数が別々の周期で動くからです。
  • アカウントや倉庫を複数お持ちの場合、置き場所の数だけ報告を待つ相手が増えます。自社倉庫、FBA、外部の物流倉庫。三か所あれば、三本の報告を待つことになります。それぞれ更新のタイミングが違うので、全部が揃った瞬間というものが存在しません。揃わないまま出品しているのが、日常の状態です。揃うのを待っていては出品できないので、結局どこかを推測で埋めることになります。推測で埋めた数字は、いつか必ず外れます。
  • 在庫切れの表示を出さない設定にしている店は、この問題が見えにくくなります。切れても注文が通るので、お客様は普通に買えます。困るのは出荷の段になってからです。表示の設定は売上を守るための工夫ですが、同時に危険を先送りにする仕組みでもあります。どちらを取るかは経営判断で、正解はありません。決めるべきは、どちらを取るかではなく、先送りにした危険をどこで受け止めるかです。
  • 年末やセールの時期に、この問題は集中して起きます。普段の何倍も注文が入り、しかもこちらも忙しいので反映が後回しになる。いちばんズレやすい日と、いちばん売越が痛い日が重なっています。一年で最も売れる日に、一年で最も謝ることになる。この巡り合わせが、多くの店を疲れさせています。そして翌年、同じ時期にまた同じことが起きます。毎年のことだと分かっていながら、毎年間に合いません。
  • 従業員の方に在庫の反映を任せている場合、その手順はどこかに書いてあるでしょうか。口頭で引き継いだきりになっていることが多い場所です。担当が休んだ日に止まり、辞めた日に途切れる。毎日必ず発生する作業で、しかも手順が頭の中にしかない。この組み合わせは、いつか必ず問題になります。手順が頭の中にしかない作業は、引き継ぎのときに必ず削れます。削れた部分が、あとで事故になります。
売れたことを、まだ知らない時間

きついのは、作業そのものではありません。

FBA分の在庫を手で反映している方に聞くと、多くの方が「そんなに時間はかかっていない」と答えます。実際そのとおりです。レポートを開いて、数字を拾って、打ち込む。慣れれば二十分か三十分でしょう。一日のうちの三十分なら、他の仕事と変わりません。

本当にこたえているのは、別のところです。

その三十分が終わった瞬間から、次の三十分までの間、自分の台帳が正しいかどうか分からない。この状態が、一日中続きます。

順を追って見ます。

朝、反映を終えます。数字は合っています。その十分後にFBAで一つ売れます。その事実を、あなたはまだ知りません。楽天の商品ページには、まだ売れる前の数が出ています。お客様はそれを見て、注文します。注文は通ります。決済も通ります。あなたの手元に、注文確認のメールが届きます。

そこまでは、何も起きていないように見えます。むしろ、良いことが起きているように見えます。注文が入ったのですから。

問題が形になるのは、出荷しようとしたときです。棚に商品がない。FBAにもない。どちらにもないものを、売ってしまっている。

キャンセルの連絡を入れることになります。

この連絡を書いている時間が、いちばん長く感じます。

私は、この連絡を何度も入れました。

売越と売り逃しが出るようになったのは、店が増えて注文が伸びた時期です。正しく在庫を管理できなくなっていました。分かっていながら、追いつけませんでした。毎晩、明日はもっと早く直そうと思って寝て、翌日また同じことが起きる。

ある日、ご注文をくださったお客様から、こう言われました。

「なぜキャンセルするのか?購入した以上、きちんと商品をおくべきだ」

返す言葉がありませんでした。

こちらには事情があります。複数のモールに出していて、数字が届くのに時間がかかる。そう説明することはできました。実際、そう説明したくなりました。

しかし、買った側には何の関係もない話です。注文ボタンを押した時点で、その方にとっては買い物が成立しています。届くつもりで待っている。あとから「ありませんでした」と言われる筋合いはない。まったくそのとおりです。

あのとき私がこたえたのは、謝ったことではありません。正しい指摘に、何も言い返せなかったことです。

こちらの仕組みの話を、お客様に持ち出すわけにはいきません。持ち出した瞬間に、言い訳になります。だから黙って謝るしかない。そして黙って謝るたびに、自分の中で何かが少し削れていきます。

数字の話は、ここで信用の話に変わります。

売越の影響は、その一件だけでは終わりません。

Amazonには「アカウント健全性」という画面があり、出荷前キャンセル率という指標が置かれています。在庫がなくて注文をキャンセルすると、この数字が動きます。基準を超えた状態が続けば、出品そのものに影響が出ます。

これは私の推測ではありません。セラーセントラルの「アカウント健全性」を開けば、ご自身の数字と基準が並んで表示されます。今すぐ確認できます。読んでいる途中で、別のタブで開いていただいても構いません。

楽天やYahoo!ショッピングにも、キャンセル率や出荷遅延に関する指標があります。それぞれの管理画面で、ご自身の店舗の数字として見ることができます。どのモールも、注文を受けておいて出荷しない店を良い店とは見なしません。当然です。

さらに、レビューに残ります。

キャンセルされたお客様が何を書くかは、こちらでは決められません。商品が悪かったわけではない。対応が遅かったわけでもない。それでも「注文したのに届かなかった」という事実だけが、店の評価として残ります。

つまり売越は、一度の謝罪で終わる出来事ではありません。店の評価として蓄積されていきます。

なぜこうなるのか。仕組みを見ると分かります。

FBAに預けた商品は、Amazonの倉庫にあります。売れたとき、商品を棚から出して梱包して送るのはAmazonです。あなたの手は動きません。動かないので、売れたことに気づく機会もありません。

気づく方法は、Amazonが出すレポートを見にいくことだけです。つまり、あなたが見にいくまで、売れた事実はあなたの側に存在しないのと同じです。これはAmazonの不親切ではなく、預けるという仕組みがそうなっているだけです。預けた以上、そこで起きたことは報告で知ることになります。

そして報告を見にいく間隔が、そのまま危険の長さになります。

そして、この蓄積は、売れている店ほど早く進みます。

ここに書ききれなかったことを、並べておきます。

  • キャンセルの連絡を書くのに、どれくらい時間をかけているでしょうか。文面そのものは数分で書けます。長いのは、書き出す前に迷っている時間です。どう謝れば角が立たないか、理由をどこまで書くか、代替案を出すべきか。実作業より、その前の迷いのほうが長い。そしてこの迷いは、何度経験しても短くなりません。しかも、この時間は作業時間として数えられていません。売上にも、記録にも残らない時間です。
  • 「在庫を確認してから出品してください」と言われたことはないでしょうか。正論です。反論できません。ただ、こちらは確認していないのではなく、確認した時点の数字が古かっただけです。この違いを説明しても、相手には同じことに聞こえます。説明しても伝わらないと分かっているから、黙って謝ることになります。説明できない正論を受け取り続けることが、どれだけ消耗するか。経験した方にしか分からないところです。
  • レビューに残るのは、商品の評価ではなく店の評価です。良い商品を、適正な価格で、丁寧に梱包して売っていても、一度キャンセルすればその一件だけが文章になって残ります。読む人は、その店の他の取引を見ません。目の前の一件で判断します。積み上げるのに何年もかかるものが、一度で削られます。そして消せません。時間が経って埋もれるのを待つしかない、というのが実際のところです。
  • アカウント健全性の画面を開くのが、だんだん億劫になっていないでしょうか。数字が良いときは毎日でも見られます。悪くなると見たくなくなる。見なければ数字は変わらないと分かっていても、開く指が止まります。この状態になっているなら、それ自体が危険の合図です。数字から目を逸らしはじめたとき、店の状態はすでに悪くなっています。見たくない気持ちのほうが、指標より早く教えてくれます。
  • 売越が出た日の夜は、他の仕事が手につきません。売上は上がっているのに、気分は沈んでいる。数字の上では良い一日で、実感としては悪い一日です。このずれが続くと、商売そのものが面白くなくなります。辞めた方の話を聞くと、売れなかったからではなく、こういう日が続いたからという方が少なくありません。そして翌朝には、また同じ作業が待っています。気分が戻らないまま、同じ手順を繰り返すことになります。
  • 従業員の方に謝罪の対応をさせている場合、その方は何も悪いことをしていません。在庫の仕組みを決めたのは経営側で、頭を下げるのは現場です。この配置が続くと、現場は「また経営が決めたことで謝らされる」と感じます。離職の理由として表に出ることはありませんが、確実に効いています。しかも、なぜ在庫が合わないのかを現場は説明できません。説明できないまま謝るのは、いちばんつらい形です。
  • 売越を繰り返すと、値下げで挽回しようとしがちです。評価が下がった分を価格で埋める。短期的には効きます。ただ、原因は価格ではないので、下げても同じことが起きます。そして一度下げた価格は戻しにくい。利益率だけが下がった状態で、同じ問題を抱え続けることになります。原因の場所と、対策の場所がずれています。ずれたまま続けると、体力だけが削られていきます。
  • 対処として出品数を減らす方がいます。扱う商品を絞れば、確かに管理は楽になります。ただ、それは売上を捨てて安全を買う判断です。しかも捨てた売上は戻ってきません。管理できないから減らす、という順番で意思決定が進むと、店は少しずつ小さくなっていきます。そして一度絞った商品構成は、戻すのに時間がかかります。減らすのは一日、増やすのは数か月です。
  • 「次から気をつける」で解決しようとしたことはないでしょうか。気をつけて直るなら、とっくに直っています。直らないのは、注意の量ではなく仕組みの問題だからです。気をつけるという対策の困る点は、失敗したときに自分を責める材料になることです。仕組みのせいにできないまま、消耗だけが続きます。対策として口に出した瞬間に、その件は片づいたことになります。片づいていないのに、議題から消えるのが厄介なところです。
  • 家族や従業員から「またか」と言われたことはないでしょうか。この一言が、いちばんこたえます。お客様からの叱責は仕事の一部として受け止められます。身近な人からの、責める意図のない一言のほうが長く残ります。売越は取引の問題として始まって、いつの間にか人間関係の問題になっています。しかも、こちらには反論の材料がありません。実際、また起きているのですから。
  • 一度離れたお客様は、戻ってきません。キャンセルされた方が、次にまた同じ店で買う確率はどれくらいでしょうか。低いと想像がつきます。そして、その方が他の店で満足すれば、もう比べる機会すらありません。失っているのは一件の注文ではなく、その方が生涯に落としたはずの金額です。失った金額は帳簿のどこにも載りません。載らないので、対策の優先順位も上がりません。
システムを入れても、消えなかったもの

一元管理システムを入れれば解決する。

そう考えるのは、当然です。私もそう考えました。そして実際、大半は解決します。

複数のモールに同じ商品を出したときの数字のズレ。これはまさに一元管理システムが解くべき問題であり、各社ともそこに正面から取り組んでいます。楽天で売れたら、Yahoo!の在庫も減る。メルカリShopsの数字も連動する。手で直す必要はなくなります。ここまでは、入れた瞬間に効きます。

効き方が鮮やかなので、これで全部片づいたと思います。私も思いました。

だから「システムを入れたのに、まだズレる」と言うと、使い方が悪いのではないかと思われます。設定が甘いのではないか。連携の項目を見落としているのではないか。マニュアルを読み直したほうがいいのではないか。

私も、そう言われたことがあります。そして、そう言われると反論しにくい。実際、設定を見落としていた経験もあるからです。

しかし、使い方の問題ではありません。

一元管理システムが見ているのは、そのシステムが知っている在庫だけです。そして、FBA倉庫の中にある商品は、システムにとって「外」にあります。

外にあるものは、直接は見えません。誰かが教えてくれるのを待つしかない。

手元の棚なら、減れば目で見えます。預けた棚は、見えません。ここが、構造の話です。

私は、いくつかのシステムを渡り歩きました。

一つ入れては、合わない部分が出てきて、別のものを試す。それを繰り返して、今は助ネコに落ち着いています。長く使っていますし、受注処理の面では助かっています。乗り換えを勧めたいわけではありません。

ただ、FBAの在庫だけは、最後まで残りました。

助ネコは、FBAで売れた分を自動では反映してくれません。だから一時期、こういう運用をしていました。

FBAに預けている数を、あらかじめ一元管理システム側の在庫から引いておく。手元にある分だけを、他のモールに出す。そうすれば、FBAで何個売れようと、他のモールの在庫には影響しません。売越は起きません。理屈としては正しい。

実際、売越は止まりました。あのキャンセルの連絡を書かなくて済むようになりました。

止まった代わりに、別のことが起きました。

Amazon以外のモールが、在庫切れになる。

手元に十個あって、FBAに三十個預けているとします。引き算した結果、楽天には十個しか出せません。FBAの三十個は、Amazonでしか売れない状態になります。

売れるはずだったものが、売れずに残る。在庫切れの表示を見て、お客様は他の店へ行きます。その方がどこで買ったのかは、こちらには分かりません。分からないまま、機会だけが消えていきます。

売越を止めたら、今度は機会損失が出ました。

どちらかを選ばされている。そう感じました。

この二択が構造から来ていることは、公開されている情報からも読み取れます。

助ネコの在庫管理の機能一覧を見ると、CSVを使って在庫を増減させる「入庫データ取込」が用意されています。つまり、外から数字を持ち込む道は、きちんと用意されています。ふさがれているわけではありません。「外部APIログ」という項目もあり、モールやカートからの情報取得と、在庫数アップロード時の履歴が確認できると書かれています。

一方で、AmazonのFBAに関する連携については、別のページに「AmazonFBAマルチチャネルサービス連携」として説明があります。そこに書かれている機能は三つです。出荷依頼。出荷実績の取得。出荷キャンセル。

在庫数の反映は、書かれていません。

これは私の解釈ではなく、公式ページに掲載されている内容です。ご自身で確認できます。そして、この連携は「外部倉庫連携オプション」として月額5,250円(税別)で提供されており、受注管理ベーシック版以上との契約が前提だと明記されています。FBAマルチチャネルサービスへの申し込みも、別途必要とされています。

払えば出荷依頼は自動になります。ただ、在庫の数字は戻ってきません。

他社をお使いの方は、その会社の同じページを開いてみてください。「FBA連携」と書かれた機能の中身が、出荷側の話なのか在庫側の話なのか。そこを読み分けると、今払っている金額が何に対するものかが分かります。

だとすれば、問うべきことが変わります。

ここに書ききれなかったことを、並べておきます。

  • 「連携」と書かれていたら、何と何がつながるのかを読んでみてください。モールと一元管理システムなのか、一元管理システムと倉庫なのか。そして流れる向きはどちらか。受け取るのか、送り出すのか。この二つを確かめるだけで、料金表の見え方が変わります。言葉は同じでも、中身はまったく別の機能です。読み分けた結果、必要な機能が含まれていなかったと分かることもあります。それが分かるだけでも、月々の判断が変わります。
  • 出荷側の連携と、在庫側の連携は別物です。出荷側は「注文が来たので、倉庫に送ってくれと頼む」機能。在庫側は「倉庫で売れたので、台帳の数を直す」機能。向きが逆です。前者が自動になっても、後者は動きません。ここを同じものとして案内されると、契約してから気づくことになります。契約前に一言確認するだけで避けられます。「在庫数は戻ってきますか」と聞けば済む話です。
  • 一元管理システムが悪いわけではありません。各社とも、見えている範囲の在庫は正確に管理しています。見えない場所の数字を勝手に想像しないのは、むしろ設計として正しい。推測で在庫を動かすシステムがあったら、そちらのほうが怖い。問題は性能ではなく、どこまでが視界に入っているかという範囲の話です。責める相手を間違えると、乗り換えという高い対策を選んでしまいます。範囲の話だと分かれば、打ち手は変わります。
  • FBA分を引いておく運用は、理屈としては正しいやり方です。確実に売越を防げますし、設定も簡単です。実際、この方法を勧めている情報も見かけます。間違っているわけではありません。ただ、この方法には代償があって、その代償が見えにくい。減った売上は記録に残らないからです。問題は、この方法を選んだことを、あとから思い出しにくいことです。設定した本人も忘れます。
  • 引き算運用の副作用は、数字として表に出てきません。売越なら、キャンセル件数として残ります。機会損失は、何も残しません。買えなかったお客様は黙って去るだけで、こちらには連絡が来ない。痛みが記録されないので、対策の優先順位が上がらない。これが厄介なところです。売越は怒られるので直します。機会損失は誰にも怒られないので、何年でも放置されます。
  • システムを乗り換えても、同じ壁に当たることがあります。乗り換え先のほうが高機能でも、外に預けた在庫が見えないという構造は変わりません。乗り換えには時間もお金もかかります。動く前に、乗り換え先がこの一点をどう扱っているかだけ、先に確認しておく価値があります。乗り換えの最中は、新しい画面に慣れることで頭がいっぱいになります。肝心の一点を確認しないまま移ってしまいがちです。
  • 在庫のAPIが用意されていないこと自体は、珍しくありません。受注や商品登録には用意されていても、在庫の取り込みはCSVだけ、という構成はよくあります。理由はいろいろありますが、利用者にとっては同じことです。用意されていないなら、用意されている道を使うしかありません。無いものを待つより、有るものを使うほうが早い。ここは割り切ってよいところです。
  • CSVの取込口があるなら、道はふさがっていません。むしろ、そこが開いていることのほうが重要です。決まった形のファイルを受け取って、在庫を増減させてくれる。この入口さえあれば、そこへ流し込む中身をこちらで作れます。何も無いところから作るのと、入口があるところへ届けるのとでは、難しさがまるで違います。入口の形さえ分かれば、あとは形を合わせて届けるだけの話になります。
  • 「自動化されている」と思っている箇所を、一度点検してみてください。本当に自動なのは、どこからどこまででしょうか。注文の取り込みは自動、在庫の連携も自動、ただしFBA分だけ手動。こういう構成になっていることがあります。ほとんどが自動なので、全部自動だと感じてしまう。残りの一手間は、意識の外に落ちやすい。
  • マニュアルに書かれていないことは、たいていできません。サポートに聞けば別の答えがあることもありますが、公開情報に無い機能を期待して契約するのは危険です。逆に、書かれていることは必ずできます。公式ページに載っている機能一覧は、営業資料であると同時に、できることの境界線でもあります。期待で契約すると、できないと分かったときに乗り換えを検討することになります。その時間が、いちばん高くつきます。
  • この問題を相談すると、使い方の話にされがちです。設定を見直しましょう、マニュアルのこの項目を確認してください。悪意はありません。ただ、構造の話と操作の話は別です。何度設定を見直しても、外にある在庫は見えるようになりません。ここを切り分けられると、無駄な確認作業をしなくて済みます。切り分けられないと、何度も同じ確認を繰り返すことになります。確認するたびに、自分の落ち度のような気がしてきます。
何分で戻ってくるか、という物差し

選ぶ基準を、一つ入れ替えてください。

これまで「FBAと連携できるかどうか」で見てきたなら、その物差しでは足りません。連携という言葉は広すぎます。出荷依頼も連携です。伝票番号の取得も連携です。そして在庫数の反映も連携です。全部が同じ言葉で呼ばれているので、料金表を見ただけでは中身が分かりません。

言葉が広いと、比べられません。比べられないものに、値段だけが付いています。

入れ替える物差しは、これです。

FBAで売れたという事実が、自分の台帳に戻ってくるまでに何分かかるか。

時間で測ります。機能の有無ではなく、時間で。

人が手で反映しているなら、答えは「最後に反映した時刻から、次に反映するまでの間隔」です。一日一回なら二十四時間。朝夕二回なら十二時間。その間ずっと、台帳は古いままです。

この物差しのいいところは、ごまかしが効かないことです。連携しているかどうかは言葉でどうとでも言えますが、何分かかっているかは数えれば出ます。そして、その分数がそのまま、売越の起きうる時間の長さになります。

十二時間の空白がある店と、一時間の空白しかない店では、同じ商品を売っていても危険の量が十二倍違います。

私自身は、この二択の間を行ったり来たりしました。

FBA分を引いておく運用をやめて、実在庫と一元管理システムの在庫数を一致させることにしました。機会損失のほうが、痛みとして大きかったからです。売れるはずのものが売れずに残るのは、見ていて苦しい。

一致させたことで、他のモールにも全数を出せるようになりました。在庫切れの表示は消えました。そこは良くなりました。

代わりに、毎日の作業が増えました。

FBAで売れるたびに、その数を一元管理システムに反映させなければなりません。セラーセントラルにログインして、レポートを開いて、期間を指定して、ダウンロードする。ファイルを開いて、SKUを突き合わせて、数を拾う。一元管理システムの取込形式に合わせて整形して、保存して、アップロードする。

工程を数えると、十近くあります。

この作業が、毎日ある。土日も、出張中も、体調が悪い日もあります。

一日飛ばすと、翌日は二日分になります。行が増え、突き合わせる数も増えます。そして二日分になった日ほど、間違えます。急いでいるうえに、量が多い。間違える条件が揃っています。

厄介なのは、間違えたことにその場では気づかないことです。数字を一つ打ち間違えても、画面は何も言いません。取り込みは正常に終わります。間違いが表に出るのは、数日後、在庫が合わなくなったときです。そのときにはもう、どこで間違えたのか分かりません。

数字の話に戻します。

ご自身の環境で、次の二つを数えてみてください。どちらも調べればすぐに出ます。

一つ目。お使いの一元管理システムの料金表で、在庫に関わるオプションの月額を合計すること。標準機能に含まれているなら、ゼロです。含まれていないなら、その金額が毎月出ていきます。助ネコの外部倉庫連携オプションであれば、公式ページに月額5,250円(税別)と記載されています。他社を使っている方は、その会社の料金表をご覧ください。

二つ目。FBAの反映作業に、一週間で何分使っているか。一回の作業時間に、一週間の回数を掛けるだけです。厳密でなくて構いません。多めでも少なめでも、桁が分かれば十分です。

この二つの数字を並べると、今どちらのコストを払っているかが見えます。お金で払っているのか、時間で払っているのか。あるいは両方なのか。

両方払っている方も、珍しくありません。オプション費用を払ったうえで、在庫の反映だけは手でやっている。中身を読み分けないまま契約していると、こうなります。

三つ目を数えても構いません。売越が起きうる時間です。

一日一回しか反映していないなら、最後に反映した時刻からの二十四時間が、そのまま危険な時間です。その間にFBAで売れた分は、他のモールの在庫に反映されていません。その状態で注文が入れば、売越になります。

この時間は、商品の回転が速いほど危険が増えます。一日に何個も動く商品なら、二十四時間の間に何度もすれ違います。動かない商品なら、一週間放っておいても何も起きません。

つまり、よく売れている商品ほど、先に事故が起きます。

そして多くの場合、二つ目の数字は、思っていたより大きくなります。

測った数字を見てから、次の話を読んでください。

ここに書ききれなかったことを、並べておきます。

  • 何分かかっているかを、どうやって測ればいいのでしょうか。難しく考える必要はありません。最後にFBA分を反映した時刻を、そのまま記録するだけです。翌日、同じ作業をする時刻との差が、その日の空白時間です。一週間記録すれば、平均が出ます。道具も要りませんし、五秒で書けます。この数字が、あとのすべての判断の土台になります。
  • 料金表を見るとき、金額より先に機能名の中身を読んでください。同じ「FBA連携」という名前でも、出荷を依頼する機能なのか、在庫を受け取る機能なのかで価値がまったく違います。金額だけを比べると、安いほうが得に見えます。中身を読むと、そもそも比べる対象ではなかったと分かることがあります。比べる対象ではなかったと分かった時点で、その項目は検討から外せます。候補が減るのは、良いことです。
  • お金と時間の両方を払っている状態は、意外と気づかれません。オプション費用を払っているので、自動化できていると思っている。実際には在庫の反映だけ手でやっている。契約したときに機能の境界を読み分けていないと、この状態が何年も続きます。明細を見る日と、作業をする日が違うので、二つが結びつきません。気づくきっかけは、たいてい明細を見ながら作業を思い出したときです。意識して並べない限り、結びつきません。
  • 測るなら、いちばん動いている商品から測ってください。全商品を調べる必要はありません。売上の上位一割で、全体の傾向はつかめます。そして危険が集中しているのも、その一割です。動かない商品をいくら調べても、問題は見えてきません。上位十品の空白時間が分かれば、店全体の危険度はおおよそ見当がつきます。全部を調べるより、はるかに早く答えが出ます。
  • 今の作業を工程に分解して、数えてみてください。ログインする、レポートを開く、期間を指定する、ダウンロードする。一つずつ書き出すと、思っていたより多いはずです。頭の中では「反映する」という一言ですが、手は十回近く動いています。一言で呼んでいる作業ほど、中身が見えなくなっています。書き出すと、省ける工程と省けない工程が分かれます。分かれた時点で、半分は解けています。
  • 数えた工程のうち、人が判断しているものはいくつあるでしょうか。おそらく、ほとんどないはずです。決まった順に、決まった操作を繰り返している。判断が要らない作業を人がやっているとき、そこには必ず間違いが混じります。能力の問題ではなく、人間の仕組みの問題です。判断していない作業を続けていると、注意力が落ちます。落ちた注意力は、判断が必要な場面で足りなくなります。
  • 一日飛ばした翌日が、いちばん危険です。量は倍になり、時間は変わらない。急ぎながら、いつもより多い行を処理することになります。そして急いだ日に限って、確認を省きます。休んだ翌日に事故が起きるのは、休んだからではなく、量が溜まったからです。つまり、休むこと自体にコストが乗っています。休めない仕事になっているなら、それは仕組みの問題です。
  • 打ち間違えたとき、それに気づくまでどれくらいかかるでしょうか。取り込みは正常に終わります。画面は何も言いません。表に出るのは、在庫が合わなくなったときです。数日後に気づいて、どこで間違えたかを遡る。この調べる時間は、作業時間には入っていません。隠れたコストです。しかも遡る作業は、通常業務の合間に発生します。予定に入っていない時間ほど、他の仕事を押しのけます。
  • 月額と、ご自身の時給を並べてみてください。作業時間に時給を掛ければ、時間で払っているコストが金額になります。両方を同じ単位にすると、比べられるようになります。多くの方が驚くのは、時間のほうの金額です。毎月の明細には出てこないので、今まで数えたことがないからです。時間のほうが大きかった場合、今は月額を惜しんで時間を差し出していることになります。
  • 測るなら、繁忙期の数字も取ってください。普段の月だけで判断すると、いちばん痛いときの姿が見えません。年末やセールの時期は、注文が増え、反映が遅れ、売越が起きやすくなります。一年で最も大事な月に、どれだけの空白時間ができているか。そこが本当の判断材料です。普段の月で判断すると、いちばん困る月を見落とします。備えるべきは、平均ではなく最悪のほうです。
  • 測った結果、今のままでよいという結論になることもあります。扱い数が少なく、回転も速くないなら、手作業で十分回ります。その場合、何も変える必要はありません。測る目的は、変えるべきだと結論づけることではなく、変えるべきかどうかを自分で決められるようにすることです。変えない判断も、測ったうえでの判断なら根拠があります。根拠のある現状維持は、不安になりません。
確認しなくなる、ということ

変わるのは、作業時間ではありません。

「三十分が五分になります」という言い方を、あえてしません。そういう話ではないからです。削られる時間は、確かにあります。しかし、それは結果として出てくるもので、本当に変わるのはもっと手前です。

確認しなくなります。

台帳が合っているかどうかを、確かめに行かなくなる。この変化が、いちばん大きい。

今は、どこかで気にしているはずです。楽天の注文が入ったとき、一瞬「これ、FBAで売れてないか」と考える。考えてから、出荷の準備に入る。その一瞬の確認が、一日に何度もあります。積み上げても大した時間ではありません。ただ、頭のどこかを常に使っています。

夜、店を閉めたあとに思い出すこともあります。今日の分、反映したか。したはずだ。したはずだが、確かめないと落ち着かない。

出かける前にも、同じことが起こります。今日は半日出るから、その前に済ませておこう。済ませてから出る。出先で、戻るまでの数時間を計算している自分に気づく。

この計算をしなくなります。

それがなくなると、朝の順番が変わります。

管理画面を開いて数字を直すところから始まっていた一日が、注文を見るところから始まる。同じ時刻に起きて、同じ机に座っていても、最初にやることが変わります。

私の場合、そこが変わりました。

毎日の工程を減らしたくて、順番に自動化していきました。いきなり全部ではありません。一つずつです。

まず、FBAで売れたレポートを自動でダウンロードするようにしました。ログインして期間を指定して落とす、という毎日の三工程が消えました。この時点では、まだファイルを開いて整形する作業が残っています。半分だけ楽になった状態です。

次に、そのレポートを一元管理システムの取込形式に合わせたCSVへ、自動で作り変えるようにしました。ここでSKUの突き合わせと整形が消えました。

作りながら思ったのは、一つずつ減らしていけば、いつか一つになるということでした。最初から全部を消そうとしていたら、途中で止まっていたと思います。

十近くあった工程が、一つになりました。

残っているのは、できあがったCSVをアップロードすることだけです。

アップロードを押した後の数字は、もう合っています。突き合わせる必要はありません。拾い間違いもありません。そもそも人が数字に触っていないからです。

そして、CSVの形式はシステムごとに違うだけです。助ネコには助ネコの形があり、他社には他社の形がある。列の並びと見出しの名前が違うだけで、やっていることは同じです。形を合わせて出せばいいので、助ネコ以外の一元管理システムでも同じことができます。

いま使っているシステムを、乗り換える必要はありません。慣れた画面のまま、取り込む中身だけが変わります。

この変化は、数えれば確かめられます。

先ほど数えていただいた二つの数字を、もう一度使います。一週間の作業時間。そして毎月のオプション費用。

作業を一回のアップロードに置き換えたとき、この二つがどう変わるか。それは計算の問題であって、信じるかどうかの問題ではありません。ご自身の数字を当てはめれば、出てきます。私が保証するまでもなく、答えは手元にあります。

もう一つ、数えられるものがあります。人が数字に触る回数です。

今は、レポートを見て、数を読み、打ち込みます。読み違いも打ち違いも起こりえます。一度でも間違えれば、その日の台帳は間違ったまま一日を過ごします。しかも、間違えたことに気づくのは、たいてい売越が起きたあとです。

工程が一つになるということは、人が数字に触る回数がゼロになるということです。

間違いが減るのではありません。間違いの起きる場所が、無くなります。

同じ数え方で、もう一度だけ比べてみてください。

今の工程は、ログイン、レポートを開く、期間を指定する、ダウンロードする、ファイルを開く、SKUを突き合わせる、数を拾う、形式に合わせる、保存する、アップロードする。十です。このうち、人が判断しているのは何工程でしょうか。おそらく、ほとんどありません。決まった手順を決まった順に繰り返しているだけです。

判断の要らない作業を人がやっているとき、そこには必ず間違いが混じります。集中力の問題ではありません。同じことを毎日繰り返せば、いつか順番を飛ばします。

ここまでが、変わることのすべてです。

ここに書ききれなかったことを、並べておきます。

  • 朝いちばんに何をしているか、思い出してみてください。管理画面を開いて数字を直すところから始まっているなら、その順番が変わります。同じ時刻に起きて、同じ机に座っても、最初に見るものが注文になる。一日の始まりが「直す」から「売る」に変わると、頭の使い方が変わります。直す仕事から始まる日と、売る仕事から始まる日では、その日の組み立て方が変わります。
  • 出かける前の計算が、いちばん地味に効いています。今日は半日出るから、先に反映を済ませておこう。出先で、戻るまでの時間を数えている。この計算は数分ですが、外出のたびに発生します。しかも、計算しているあいだは他のことを考えられません。減るのは作業時間ではなく、気を取られている時間です。外に出る回数が多い方ほど、この計算の総量は大きくなります。仕入れや出張の多い方は、特にそうです。
  • 夜、思い出さなくなります。今日の分は反映したか。したはずだが、確かめないと落ち着かない。この確認のために、もう一度パソコンを開いたことがある方は少なくないはずです。開いて、合っていることを確かめて、閉じる。何も起きていない確認作業に、夜の時間を使わなくなります。この時間は誰にも数えられていません。数えられていないので、無くなっても気づかれません。ただ、確実に楽になります。
  • 従業員の方に説明する手順が、短くなります。十工程を口頭で引き継ぐのは大変です。順番を間違えると結果が変わるので、メモを渡しても不安が残る。残る作業が一つなら、説明は一分で終わります。教える側も、教わる側も楽になります。手順が短いということは、間違えようがないということでもあります。教えたあとの心配も減ります。
  • 属人化が消えます。今のやり方は、担当者の頭の中に手順があることで成り立っています。その方が休めば止まり、辞めれば途切れる。作業が一つになると、誰がやっても同じ結果になります。引き継ぎのために時間を取る必要も、なくなります。休みを取るときに、引き継ぎの段取りを考えなくてよくなります。休める仕事にしておくことは、続けるための条件です。
  • いま使っているシステムを、乗り換える必要はありません。これは意外と大きな点です。乗り換えには、データの移行、設定のやり直し、従業員の再教育がついてきます。数か月かかることもあります。慣れた画面のまま、取り込む中身だけが変わるなら、その負担は発生しません。今の画面を覚えるまでに払った時間を、捨てずに済みます。慣れは資産です。
  • CSVの形式が違うだけ、というのはどういうことでしょうか。どのシステムも、在庫を取り込むファイルの形を決めています。列の並びと、見出しの名前が違うだけで、入っている情報は同じです。商品を特定する番号と、増減させる数。この二つが伝われば、どこ向けにでも作れます。だから、将来システムを変えることになっても、作り直しは形の部分だけで済みます。
  • 人が数字に触らなくなります。今は、レポートを見て、数を読み、打ち込んでいます。読むところと打つところ、二か所に間違いの余地があります。触らなければ、どちらも起きません。正確になるのではなく、不正確になる経路が無くなるという言い方のほうが近い。正確になるのではなく、不正確になる経路が無くなる。この違いが、日々の安心につながります。
  • 間違いが減るのではなく、間違いの起きる場所が無くなります。この違いは大きい。減るだけなら、いつかまた起きます。起きたときに備えて、確認の工程を残しておく必要があります。場所そのものが無くなれば、確認も要らなくなります。減るだけなら、備えとして確認の工程を残す必要があります。無くなれば、確認そのものが要らなくなります。
  • 一つずつ減らせばいい、というのが実感です。最初から全部を自動にしようとすると、設計が大きくなって途中で止まります。まずダウンロードだけ。次に整形だけ。一つ消えるたびに、その分だけ確実に楽になります。半分でも、半分の効果は出ます。半分でも、半分の効果は出ます。全部やらないと意味がない、という考え方が、いちばん手を止めます。
  • 最後の一手間を、あえて残しています。アップロードを押すのはご自身です。全部を自動にすることもできますが、そうするとこちらがログイン情報を預かることになります。押す手間と、鍵を渡す不安。どちらを選ぶかと考えて、押す手間を選びました。押す手間は数秒です。鍵を渡す不安は、契約が続くあいだずっと残ります。比べるまでもありませんでした。
手に入るものを、改めてまとめます

ここまでに述べたことを、並べ直しておきます。

  • FBAに預けた在庫が売れたという事実は、レポートを見にいくまで、自分の側には存在していない
  • 最後に反映した時刻から次に反映するまでの空白が、そのまま売越の起きうる時間になる
  • 売越は一度の謝罪では終わらず、キャンセル率とレビューという形で店に蓄積していく
  • 一元管理システムは、見えている在庫は正確に扱う。見えていないのは性能ではなく視界の範囲の問題
  • FBA分を引いておく運用は売越を止めるが、代わりにAmazon以外のモールで機会損失が出る
  • 助ネコのAmazonFBA連携は「外部倉庫連携オプション」月額5,250円(税別)で、内容は出荷依頼・出荷実績の取得・出荷キャンセルの三つ。在庫数の反映は公式ページに記載がない
  • 「連携」には出荷側と在庫側があり、向きが逆。料金表はここを読み分けて見る
  • 選ぶ基準は機能の有無ではなく、売れた事実が台帳に戻るまでの分数
  • 測るのは二つ。在庫に関わるオプションの月額と、一週間の作業分数
  • いまの反映作業は工程が十近くあり、そのほとんどに人の判断は要らない
  • 自動化したあとに残る手間は、できあがったCSVを一回アップロードすることだけ
  • CSVの形式はシステムごとに列と見出しが違うだけなので、助ネコ以外の一元管理システムにも対応できる
  • いま使っているシステムを乗り換える必要はない。慣れた画面のまま、取り込む中身だけが変わる
  • 人が数字に触らなくなるので、間違いが減るのではなく、間違いの起きる場所が無くなる
  • 無料診断・検証では、ご自身のFBAレポートからCSVを作り、ご自身のシステムに取り込んで動くかを確かめる
  • ログイン情報はお預かりしない。アップロードを押すのはご自身で、アカウントの鍵は持ったままになる
  • 検証の時点で費用は発生しない。価格は環境によって手間が変わるため、動くと分かってからの相談になる
まず、ご自身の数字で試してください

やっていただきたいことは、一つだけです。

無料診断・検証をお申し込みください。

ご自身のFBAレポートを使って、一元管理システムに取り込めるCSVが実際に作れるかどうかを、こちらで確かめます。お手元の環境で、お手元の商品で確かめます。一般論ではなく、あなたの数字で確かめます。

在庫のズレは、注意力の不足から生まれるのではありません。在庫の置き場所が分かれていて、その数字が遅れて届くから生まれます。だとすれば、短くすべきなのは、数字が届くまでの時間です。その時間が実際に短くなるかどうかを、まず見ていただきたい。

申し込んだあと、何が起きるかをお伝えします。

まず、今お使いの一元管理システムをお聞きします。助ネコでも、他社のものでも構いません。取込に使うCSVの形式が分かれば、そこに合わせられます。

次に、FBAの販売レポートをご用意いただきます。すでにお持ちのものです。新しく何かを契約していただく必要はありません。

そのレポートから、取込用のCSVを作ります。できあがったものをお渡ししますので、実際にご自身の一元管理システムへアップロードして、数字が正しく入るかを見てください。動くかどうかは、動かしてみれば分かります。

ここで数字が合わなければ、それまでの話です。合わない理由をお伝えして、終わりにします。そのほうが、お互いに無駄がありません。

動かないものを、動くように見せる気はありません。見せたところで、契約したあとに分かります。分かったときに失うのは、そちらの時間とこちらの信用です。どちらも、取り返しがつきません。

見ていただきたいのは、資料ではなくCSVです。ご自身の商品のSKUが並び、ご自身が売った数が入っているファイルです。それを実際に取り込んで、在庫数が動くところを見てください。動けば、話は先に進みます。動かなければ、そこで終わりです。

申し込みにあたって、お伝えしておくことが三つあります。

一つ目。価格は、まだ決まっていません。環境によって手間が変わるので、検証を終えてからご相談させてください。検証の時点では、費用は発生しません。

二つ目。ログイン情報はお預かりしません。お渡しするのはCSVで、アップロードを押すのはご自身です。アカウントの鍵は、あなたが持ったままです。

これは今後も変えるつもりがありません。理由があります。

私は、売越でお客様から叱られた側の人間です。「なぜキャンセルするのか」と言われて、何も返せませんでした。あのとき分かったのは、自分の店で起きたことは、どんな事情があっても自分の責任だということです。仕組みのせいにはできません。仕組みを選んだのも自分だからです。

人様の店の鍵を預かって、こちらの不手際で何かが起きたとき、その方は同じ思いをすることになります。お客様に頭を下げるのはその方で、私ではありません。そして、その方はきっと事情を説明しないでしょう。私がそうしなかったのと同じ理由でです。

それは引き受けられません。

三つ目。期限の話はしません。

残りわずかです、今月限りです、といった書き方をすれば、動く方は増えるかもしれません。ただ、そうして動いた方は、必要だから動いたのではなく、急かされたから動いたことになります。

必要のない方に売ると、あとで困るのはこちらです。使われないまま契約だけが続き、いつか解約されます。その間ずっと、役に立っていないものにお金を払わせていることになります。

今月だけ、残り何社、といったことは書きません。在庫のズレは、急かされたから直すものではないと思っています。ご自身で数字を測って、割に合うと判断されたときが、そのときです。

測った数字が、思っていたより小さければ、それでいいのです。今のやり方で回っているということですから。無理に変える必要はありません。

もう一度だけ、最初に申し上げたことに戻ります。

在庫が合わないのは、注意が足りないからではありません。商品の置き場所が分かれていて、売れた事実が届くまでに時間がかかるからです。その時間を短くすれば、ズレは減ります。短くしなければ、何度数え直しても同じことが起きます。

短くなるかどうかを、ご自身のファイルで確かめてください。

大きかった方だけ、お申し込みください。

ここに書ききれなかったことを、並べておきます。

  • 申し込みのときに、何を用意すればいいのでしょうか。二つだけです。今お使いの一元管理システムの名前と、FBAの販売レポート。どちらも、すでにお手元にあるものです。新しく契約するものも、設定を変える作業もありません。用意に時間をかけていただく必要はありません。準備が要らないのは、こちらの都合ではありません。準備が要る時点で、試す前に面倒になってしまうからです。
  • どのシステムをお使いでも、こちらからお聞きするのは取込ファイルの形式だけです。助ネコでも、他社のものでも構いません。形が分かれば、そこに合わせて作ります。システムの良し悪しを評価したり、乗り換えを勧めたりすることはありません。今お使いのものを、そのまま使い続けていただく前提です。今の環境を変えずに済むかどうかは、多くの方にとって最初の関門です。そこを越えてから、中身の話をしたい。
  • 合わなかったときは、どうなるのでしょうか。合わない理由をお伝えして、そこで終わりにします。別の提案を重ねたり、追加で相談の場を設けたりはしません。動かないものを動くように見せても、契約したあとに分かります。そのときに失うのは、そちらの時間とこちらの信用です。合わないと分かること自体に、価値があります。少なくとも、その方法を探し続ける時間は要らなくなります。
  • 検証の段階で、費用は発生しません。無料と書いていますが、あとから何かを請求する仕組みもありません。価格は環境によって手間が変わるため、検証を終えてからご相談させてください。順番として、動くと分かってから金額の話をするほうが、お互いに判断しやすいと考えています。動くと分かる前に金額を提示されても、比べようがありません。順番を逆にしないための決まりです。
  • ログイン情報をお預かりしないのは、方針として決めていることです。お渡しするのはCSVで、アップロードを押すのはご自身です。アカウントの鍵は、あなたが持ったままになります。今後も変えるつもりはありません。便利さのために鍵を集めることは、しないと決めています。便利さと引き換えに鍵を集める仕組みは、集めた側の責任が際限なく大きくなります。そこには踏み込みません。
  • 期限を切らないのは、急かされて決めた判断が続かないからです。残りわずか、今月限り。そう書けば動く方は増えるかもしれません。ただ、その方は必要だから動いたのではありません。使われないまま契約だけが続くのは、こちらとしても望むところではありません。必要になったときに思い出していただければ、それで十分です。急いで決めた契約ほど、長続きしません。
  • 断っていただいて構いません。検証してみて、思ったほどではなかった。今のやり方で十分だった。そういう結論になったら、そのまま終わりにしてください。連絡を入れにくいと感じる必要はありません。合わなかったと分かること自体が、検証の成果です。こちらから追いかける連絡も入れません。必要なら、また声をかけていただければ済む話です。
  • 仕組みを見て、自分で作ると決めていただいても構いません。どういう流れで動いているかは、検証の過程で見えます。社内に作れる方がいるなら、そのほうが早い場合もあります。こちらの役目は、それが可能かどうかを先に見極めることだと考えています。内製できるなら、そのほうが速くて安い。見極めの結果がそれなら、それが正解です。
  • 今のままでよいと分かる場合もあります。扱い数が少なく、回転も速くないなら、手作業で十分間に合います。その場合、無理に変える必要はありません。測ってみて小さかったのなら、それは良い知らせです。抱えていた不安が、一つ減ります。測って小さかったのなら、それは良い知らせです。漠然と抱えていた不安が、一つ片づきます。
  • 判断材料になるのは、こちらの説明ではなく、ご自身の数字です。一週間の作業時間と、毎月のオプション費用。この二つを並べれば、割に合うかどうかは計算で出ます。計算で出るものを、言葉で説得する必要はありません。数えていただければ、それで足ります。説得されて決めたことは、うまくいかなかったときに人のせいになります。自分で数えた数字なら、そうなりません。
  • 動くかどうかは、動かしてみれば分かります。資料を読んで想像していただくより、ご自身の商品番号が並んだファイルを、ご自身のシステムに取り込んでいただくほうが早い。在庫数が動けば、話は先に進みます。動かなければ、そこで終わりです。判断はその一点だけで構いません。想像で判断する時間より、一度動かしてみる時間のほうが短い。それだけの話です。

追伸

同じ思いをされている、あなたへ

可能な限りコストを抑えながら、手間も最小限にしたい。どうすればいいのか。

長いあいだ、これを考えていました。

もともと私は、建築の仕事を長くやってきました。若い頃から独立したいという思いがあって、商売の基本である物販を選びました。最初はAmazonの一店舗です。そこからYahoo!ショッピング、楽天、メルカリShopsと増やしていきました。

増やした分だけ、管理する仕事が増えました。

売れているのに、気分が晴れない日がありました。在庫が合わず、キャンセルの連絡を書いて、頭を下げる。「なぜキャンセルするのか。購入した以上、きちんと商品をおくべきだ」と言われて、返す言葉がありませんでした。あの一言は、今も覚えています。

そういう日の夜に考えていたのは、商売のことではありませんでした。どうすれば数字を合わせられるか。そればかりでした。

おかしいと思ったのは、そこです。

在庫の数字を気にしている時間は、一円も生みません。本来やりたいのは、どの商品を仕入れるか考えることや、お客様に喜ばれる売り方を工夫することのはずです。そちらに時間を使いたくて、独立したはずでした。

コストを抑えたい。手間も減らしたい。そのために工夫を重ねるのは、悪いことではありません。ただ、工夫すること自体に頭を使い続けているうちは、まだ本業に戻れていない。

そういうことを意識するより、本業に集中できる環境を作りたい。

私がやりたいのは、そういう環境を作ることです。自分の店でそれをやってきて、いま、ようやく手間が一つになりました。同じ形が、他の方の店でも作れるはずだと思っています。

同じ思いをされている、あなたへ。